目次
家を買う
STEP1 どんな住宅がほしいかをまず決めよう
STEP2 長い目で見た資金プランを
STEP3 希望条件をまとめて情報収集だ
STEP4 日常生活にあわせた現地調査を
STEP5 細かい点まで入念にチェックしよう
STEP6 間違いのない契約をするために
STEP7 手付金を保証してくれるシステム
家を買い替える
STEP1 買い替えはタイミングが重要
STEP2 「売り」のシステムを知っておこう
STEP3 指定流通機構制度とは
STEP4 損をしないための買い替えの税金

家を買う
STEP1:どんな住宅がほしいかをまず決めよう                                  
1.一戸建てかマンションか
一戸建て マンション
土地の所有形態
(所有権の場合)
所有形態が明確で、庭を持つことができる。 土地は所有者全員の共有で、専有面積に応じた持ち分。
増改築 増改築・建て替えは自由。 内部の改築はできるが、増改築は不可能、建て替えには所有者の5分の4の賛成が必要。
維持・管理 維持・管理は所有者自身が行う。 毎月管理費・修繕積立金が必要で、経年に応じて大規模修繕が必要になる。
ライフサイクルへの対応 子供の成長や家族数の変化に比較的対応しやすい。 ライフサイクルの変化には買い替えが必要になる
ペットの飼育 自由。 禁止されているところが多い。
2.新築か中古か
 新築住宅は新しい家という満足感があり、気に入れば、設備も最新のものを使っているので、これにこしたことはないでしょう。ただし、マンションでは青田売り(建物の完成前に販売すること)が一般的なので、モデルルームと図面だけで購入することになります。
 中古住宅は、新築に比べ価格が安く、すぐ住めるというメリットがあります。また、自分の目で確認して購入することができます。反面、築年が経過しているので、購入前に建物や設備をチェックしてください。自分の好みにあったリフォームをすれば、快適な居住空間になります。
 要は自分が住宅購入に際して、どこにポイントを置くかを明確にしておく必要があります。

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STEP2:長い目で見た資金プランを     
1.頭金は購入価格の2割以上が原則
 一般的に民間金融機関は融資の限度額を担保物件の評価額の80%に設定しているケースが多いです。また自己資金が少ない場合、親や祖父母からの住宅取得資金贈与の特例があります。300万円までだったら無税です。
2.返済負担は小さく
 ライフサイクルを考えてゆとりある返済計画を立てましょう。公庫や年金、財形などの公的融資と銀行などの民間融資がありますが、基本的には公的融資を優先し、不足分を民間の住宅ローンを利用するのが良いでしょう。年間返済額の目安はおおよそ年収の20〜25%で、公庫などでも必要最低月収を毎月返済額の5倍以上と定めています。
3.返済方法と繰上返済
・元利均等返済
 最も一般的で、元金と利息の合計額を毎回一定額とする返済方法です。計画的に返済していくことができます。
・元金均等返済
 毎回一定額の元金を返済していく方法で、当初の返済額は多いのですが、元金が減少していくにつれて返済額も減ってきます。
・ゆとり(ステップ)返済
 公庫融資、年金融資で扱っている返済方法で、当初5年間の返済額を減らし、6年目以降返済額を増やすとう方法です。
・固定金利型
 最初に設定された金利水準が完済まで適用される方式です。公庫は固定金利型(最初10年間及び11年目以降の2段固定金利)のみです。
・変動金利型
 民間融資の場合、選択できる方式で、金利の変動に伴って、原則として年2回金利が見直されます。
一般に、金利水準が低いときには固定金利型が、高いときには変動金利型が有利と言われます。
・繰上返済
 余裕ができた場合には、繰上返済という方法があります。元金全額を返済する「全額繰上返済」と一部を返済する「一部繰上返済」がありますが、一部繰上返済では「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類あります。
4.意外にかかる諸費用
 登記にかかる費用、ローンの手続きに関わる費用、税金、保険料などの費用もかかります。また、仲介物件では仲介手数料、中古住宅ではリフォーム費用なども念頭に置いて置かなければなりません。
 一般に、新築住宅では購入価格の2〜5%、中古住宅では5〜10%が購入時の諸費用だといわれています。
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STEP3:希望条件をまとめて情報収集だ      
1.家族全員の合意が必要
 間取りや面積、設備については家族間の合意はとりやすいですが、地域、立地選定は、通勤、通学、買い物の便、幼児がいる場合、高齢者が同居する場合等、さまざまな問題に直面します。あらかじめ家族間で話し合いをしておくと情報収集もやりやすくなります。
2.情報収集はこまめに
 情報の収集方法には、業者の店頭や新聞・情報誌、さらにインターネットによる方法などがあります。自分に適した物件を見つけるには、これらの情報をこまめに収集することが必要です。『ハトマーク』のお店は全宅連傘下の都道府県の宅地建物取引業協会に加盟している業者で、全て建設大臣指定の流通機構に加盟しており、店頭に行けばファクスやパソコンで多くの情報を提供できるシステムを持っています。
3.広告はここをチェックしよう
 不動産広告は、「宅地建物取引業法」「不当景品類及び不当表示防止法」という法律、ならびに業界の自主規制による「不動産の表示に関する公正競争規約」でさまざまに規制されております。
 物件概要によって、立地交通手段、土地の権利関係、敷地面積、法令上の制限はどうなっているか、設備はどうか、など最低限の情報は得られます。表示に関しても、細かい規定があり、徒歩時間も80mを1分として表示しなければならないことになっています。土地の権利関係も、所有権か借地か、私道負担がある場合にはその面積が、取引態様についても「売主」か「代理」か「媒介」(仲介)かなどが分かります。
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STEP4:日常生活にあわせた現地調査を   
1.足を使ってチェックしたい利便性
・現地に行く場合には、マイカーを使わずに広告に記載された交通機関を利用していく。
実際にどのくらいかかるのか、通勤時間帯には電車の本数はどのくらいあるのかなどを確認。徒歩時間も信号の待ち時間や歩道橋の上り下りは表示しなくて良いことになっていますので、実際に徒歩時間を確認して下さい。
・商店街までの距離、成熟度、物価、金融機関の有無をチェック。
実際に商店街まで足を運び、成熟度はどうか値段はどうかも検証したいものです。また、金融機関はどのような銀行があるかを確認しておくと便利です。
・公共施設、学校・幼稚園の充実度、距離はどうか。
学区域や通学路も調べておく必要があります。また、病院、役所や図書館といった公共施設も事前に調査しておきましょう。
2.安全かどうかを確認しよう
・立地の周辺環境調査
周りに危険施設はないか、公害等を発する施設はないかをチェックしてみましょう。また、道路の整備状況や交通量もチェックしてみましょう。
・土地のチェック
造成地や軟弱地盤の土地では、土地の安全性を確認することが重要です。また、傾斜地では「盛り土」(注意が必要)か「切り土」か、擁壁は安全に施行されているかをチェックしてみて下さい。
3.快適に過ごせる環境か
快適に居住するためには、日照や通風、眺望、騒音などをチェックする必要があります。特に、周辺に空き地がある場合には、将来、建築物が建つ可能性がありますので、土地利用計画も調査してみて下さい。
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STEP5:細かい点まで入念にチェックしよう    
1.一戸建てはここをチェックしよう
居住環境
建物の形状 良好 やや難がある 不整形
道路状況 南道路 東、西道路 北道路
道路幅 5m以上 4m以上 4m以下
立地条件 やや台地 平坦地 底地・窪地
広い 普通 狭い
造園 優れている 普通 劣る
建物
建物外観 優れている 普通 劣る
建物面積 十分 普通 狭い
間取り 使いやすい 普通 使いにくい
基礎 優れている 普通 劣る
日照・通風 優れている 普通 劣る
各居室の広さ 十分 普通 狭い
LDKの広さ 15畳以上 12畳以上 12畳以下
収納 十分 普通 劣る
キッチンの広さ・設備 十分 普通 劣る
浴室・洗面室 十分 普通 劣る
その他
門塀 優れている 普通 劣る
駐車スペース 2台分 1台分 なし
2.マンションはここをチェック
敷地
敷地面積 余裕がある 多少余裕がある ぎりぎり
隣地との距離 余裕がある 多少余裕がある ぎりぎり
共用部分
外観 優れている 普通 劣る
エントランス 優れている 普通 劣る
共用施設 充実している あり なし
エレベーター 40世帯に1機 60世帯に1機 なし
駐車場 80%以上 60%以上 60%以下
専有部分
専有面積 十分 普通 狭い
間取り 使いやすい 普通 使いにくい
スラブ厚 18p以上 15p以上 15p以下
開口部の方位 良好 普通 劣る
各居室の広さ 十分 普通 狭い
LDKの広さ 12畳以上 9畳以上 9畳以下
キッチンの広さ 十分 普通 狭い
浴室・洗面所の広さ 十分 普通 狭い
室内の仕様 優れている 普通 劣る
収納 十分 普通 狭い
設備 優れている 普通 劣る
バルコニーの広さ・幅 十分 普通 狭い
管理
管理方式 委託管理 一部委託管理 自主管理
管理人 常駐 日勤 巡回

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STEP6:間違いのない契約をするために    
1.取引主任者証を確認して
 重要事項の説明を受けるに当たっては、宅地建物取引主任者が取引主任者証を提示して、説明することになっていますので、まず確認してください。
2.重要事項説明のここをチェックしよう
・登記簿謄本との照合
重要事項説明書とともに登記簿謄本の写しが渡されます。登記簿謄本は@表題部(地番や面積、建物の構造などを記載)A甲区(所有権の所在を記載)B乙区(所有権以外の権利関係を記載、たとえば抵当権など)から成っています。まず、双方の内容を確認することが必要です。抵当権が設定されている場合は、抹消する時期と方法を確認して、売買契約書に明記しなければ成りません。
・法令に基づく制限事項
重要事項説明書には、購入する物件が都市計画法のどの用途地域にあたるか、建築基準法やその他の法律によってどのような制限を受けるか、などが記載されています。建物を建築するには、さまざまな法律が絡んできますので、十分説明を受け、分からない点は質問してください。
3.覚えておきたい主な法律用語
用途地域
「第一種低層住居専用地域」とか「第二種中高層住居専用地域」など、用途地域は12に分かれており、地域によって、建築できる建物の種類、建ぺい率、容積率、建物の高さの制限などが定められています。
・建ぺい率、容積率
「建ぺい率」は敷地面積に対する建築面積の割合。「容積率」は敷地面積に対する延床面積の割合をいいます。
たとえば建ぺい率60%、容積率80%の地域では、165uの敷地では、1階部分は建ぺい率の制限により99u
建物全体の延面積は容積率の制限により132uまでしかたてられません。
・高さ制限・斜線制限
建物の高さについても、道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限、あるいは日影規制などにより制限されています。第一種、第二種低層住居専用地域では、高さが10mまたは12mまでと定められています。
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STEP7:手付金を保証してくれるシステム      
1.「保証書」を確認しよう
 業者が売り主である物件を購入するとき、一定額を超える手付金を支払う場合、業者はその保全措置を説明し、その保全の内容を書面化した「保証書」を買主に渡します。
・いくら手付金を払ったら保証されるか
@未完成物件の場合は、売買代金の5%を超える場合、または1000万円を超える場合。
A完成物件の場合は売買代金の10%を超える場合、または1000万円を超える場合。
には、手付金等の保全措置を講じなければならないことになっています。
2.全宅保証の手付金保管制度
 保全措置として未完成物件に関しては@銀行等による保証A保険事業者による保証、さらに完成物件に関してはB指定保管機関による方法があります。全宅保証は建設大臣指定の「保管機関」として、手付金等の保管業務を行っていますので、全宅保証協会会員が売主となった完成物件で保全措置が必要な手付金等の支払いでは、売主の業者から「手付金等寄託契約書」の写しを確認後、手付金等を支払ってください。後日、全宅保証から「寄託金保管証明書」が送られてきます。
3.媒介物件の手付金保証制度
 全宅保証では、媒介(仲介)物件でも、買い主が支払った手付金の保証を先駆けてやっています。流通機構に登録された一戸建てやマンション、宅地を購入した場合、買主が支払った手付金の安全確保を図るために作られました。
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家を買い替える
STEP1:買い替えはタイミングが重要      
1.綿密な資金計画を立ててみよう
 買い替えを成功させるには、綿密な資金計画が重要です。現在住んでいる住宅の売却資金を、新居購入の頭金に充当して買い替える、というケースでは、資金計画の狂いが、買い替えの不成立といった事態にも成りかねません。そのためにはまず、自分の家はいくらで売れるのか、新居はいくらの予算で購入するのかを、決めなければ成りません。特に、売却価格については、専門家に相談することが必要です。
2.売却価格はこうして決まる。
 
自分の家がいくらで売れるかは、市場環境によって大きく変化しますし、売却側の事情によっても変わりますので、正確に予測することは困難です。通常、下表のようなプロセスを通して決まります。
希望価格 売却希望者の売りたい価格
査定価格 業者が価格査定マニュアルなどによって査定した価格
売出価格 売却希望者と業者が話し合って市場に売りに出す価格
成約価格 実際に売れた価格
「ハトマーク」のお店は、地元に密着している業者が多いので、地域の情報には精通していますので、相談をして決めると良いです。
3.「売り」と「買い」のタイミングを合わせる
 買い替えで最も重要なことは、「売り」と「買い」のタイミングです。「買い」が先行すると、二重にローンを払わなければならなかったり「つなぎ融資」を利用しなければならなかったりします。また「売り」が先行すると、アパート生活を余儀なくされる場合もでてきます。
 こうした事態を避けるためには、まず、業者に「買い替え」であることを話して相談し、一つの業者に「売り」と「買い」を依頼し、売却には時間的余裕を見てやることが重要です。
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STEP2:「売り」のシステムを知っておこう    
1.どの媒介契約を選ぶか
 不動産の売買を業者に依頼するときには、宅地建物取引業法により「媒介契約」を書面で結ばなければ成りません。媒介契約タイプ別の特徴、概要を表に示しておきましたので、参考にしてください。
専属専任媒介契約 専任媒介契約 一般媒介契約
明示型 非明示型
特徴 1社にだけしか売却を依頼できない 複数の業者に依頼できる。依頼先を明示する明示型と、明示しない非明示型がある。
業者の義務 ・5日以内に情報を指定流通機構に登録し、成約に向けて積極的に努力する。
・1週間に1回以上文書により業務処理状況を報告する。
・売主に対し、登録済証を手交する。
・成約した場合、指定流通機構に成約報告をする。
・7日以内に情報を指定流通機構に登録し、成約に向けて積極的に努力する。
・2週間に1回以上文書により業務処理状況を報告する。
・売主に対し、登録済証を手交する。
・成約した場合、指定流通機構に成約報告をする。
仲介活動はするが、義務等は課せられていない。
依頼者の義務 ・自分で買主を見つけて取り引きすることはできない。
・契約期間中に、他の業者や自分で取引を成立させると違約金を支払わなければならない。
・依頼者の都合で契約を解除すると費用を支払わなければならない。
・自分で買主を見つけて取り引きすることも可能だが、契約期間中は仲介業者がかけた費用を支払わなければならない。 ・自分で見つけた買い主と取り引きすることが可能。
・成約したら、他の依頼業者に報告。
期間 3ヶ月以内(更新可能)
手数料 建設大臣告示により上限は成約価格の3%+6万円(別途消費税)
手数料は売買契約時に半分、引き渡し時に半分が一般的。
2.価格査定の仕組み
 媒介契約書には媒介価格(物件を売買する価格)を記載することになっています。その際業者が価格に関して意見を述べるときは「合理的な根拠」を示して説明しなければなりません。そのため、業者は(財)不動産流通近代化センター作成の「価格査定マニュアル」などを利用して、媒介価格を決めて根拠を説明します。
 ただし、市場や情勢の変化などで、相場も変動します。その場合には、媒介価格の変更もありますが、このケースでも根拠を示して、助言しなければならないことになっています。
3.流通機構に情報登録して早期の成約を
 専属専任媒介契約、専任媒介契約を結ぶと、依頼された業者は『建設大臣指定不動産流通機構』に情報を登録することを義務付けられています。指定流通機構は、全国で4公益法人によって運営されており、東京はじめ東日本ではでは(財)東日本不動産流通機構が指定されています。
 指定流通機構に登録された情報は、レインズシステムにより、加盟会員に流れる仕組みになっています。登録された情報は、会員業者のパソコンやFAXで検索され、買い主のもとに伝達されます。つまり、1社に依頼すれば、多くの業者が仲介活動に参加し、早期の成約が可能になるシステムです。
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STEP3:指定流通機構制度とは     
1.指定流通機構制度「REINS」とは
 レインズ(REINS)とは、建設大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューター・ネットワーク・システムのことで、「Real Estate Infomation Network System」の頭文字で名付けられています。
 不動産物件情報をオンラインネットワークにより指定流通機構のホストコンピューターに登録し、多くの取引関係者が物件情報を共有することにより、迅速に情報交換を行い、不動産取引の拡大をはかるものです。
2.4つの公益法人による指定流通機構
 指定流通機構は、平成9年4月の改正宅地建物取引業法の施行により運営されています。指定流通機構は、全宅連をはじめ、各不動産団体で構成されていますが、全国47都道府県にサブセンターを持つのは、全宅連だけです。
3.レインズの特色
(1)豊富な物件情報の登録・公開
 売主と会員業者との間で媒介価格が締結された場合、会員業者はその物件情報を指定流通機構のホストコンピューターに登録します。登録された物件はリアルタイムに広く会員業者に公開されます。
(2)購入希望物件のスピーディーな検索
 数多くの会員業者がオンラインで結ばれており、豊富な物件情報の中から依頼者の希望に沿った情報をスピーディーかつ手軽に検索し依頼者に提供することができます。
(3)市場動向に則した適正価格での取引の実現
 流通機構には、オンラインにより最新かつ大量の物件情報が集まりますので、そのときどきの市場実勢や動向などをいち早く知ることができます。そして物件の成約情報も全て全員に公開されますので、媒介価格の決定などに際しての重要な資料として利用することができます。 
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STEP4:損をしないための買い替えの税金   
1.売却の際にも税金がかかるケースも
 自宅を売却する際、売却価格が取得価格を上回っていた場合、その上回った部分に譲渡所得税がかかります。譲渡所得は、次の計算式で求めます。   売却価格−(取得費+売却時の費用)
2.譲渡所得が3000万円以下なら無税
 自宅を売却する場合は、前掲の計算式で求めた譲渡所得が3000万円以下であれば、課税される心配はありません。適用条件はいろいろありますが、一般的な住宅を売却する場合には「3000万円特別控除」をまず考えてみてください。
3.「買い替え特例」もある
相続や遺贈により取得した住宅を売却して、新たに家を買い替えたい、というケースもあります。このケースでは、取得費がほとんどありませんので、3000万円特別控除を使っても高額の税金を払わなくてはならない場合もでてきます。この場合には「買い替え特例」が使えるか検討してみてください。買い替え特例は、売却によって生じた譲渡所得のうち、新たに購入した住宅の価格分を、次に売却するまで課税を繰り延べるという制度です。
4.譲渡損失が繰越控除できるケースも
 自宅を売却して譲渡損が発生した場合、平成11年度の税制改正で、一定要件の下、その翌年以降3年間所得税・住民税の繰越控除が認められました。さらに住宅ローン控除との併用も認められました。一定要件とは、一定期間内に自宅を買い替えること、売却する住宅・購入する住宅ともローン残高があること等です。
5.損得を計算してみよう
 平成11年度の税制改正で、「住宅ローン控除制度」が創設されました。返済期間が10年以上の住宅ローンのうち、建物と土地にかかるローン残高(公的融資、民間融資を問わない)に対して、15年間にわたって所得税から税額控除してくれます。この制度は15年間合計で最高587.5万円が所得税から控除され、年末調整や確定申告で戻ってきます。(注:借入金、購入する住宅、購入する人に対して、諸条件があります)。
 ただし、買い替えで「3000万円特別控除」や「買い替え特例」などの制度を利用した場合は、適用されません。どの制度を利用したら得かも、ある程度自分で計算してみてください。ただ、税制は複雑ですので、わからない場合は、専門家に相談してください。
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